風の影響で電柱は折損、倒壊するのか?

NTT

 

 

2018年9月4日 台風21号で関西電力管内では

9月5日 7時00分現在【暫定値】
369本の電柱折損があったという。府県の内訳は

大阪府    248本
京都府     28本
兵庫県      4本
奈良県      9本
滋賀県     37本
和歌山県    42本
福井県(一部)  1本
三重県(一部)  0本

ということですが、なぜ折損したのか?

 

私も電力マンとして、折損(傾斜)の現場を見てきたが

電柱が折損(傾斜)する主な原因は

  • 電柱、支線、電線に倒壊した家屋や飛来物、樹木が寄り掛かった場合
  • 電線が断線し電柱が不平衡(バランスが悪く)なった場合
  • 車両接触、追突した場合
  • 藤田スケールJFF2以上の竜巻による場合
  • 地震動での地形(液状化)変化による場合
  • 水害などにより地盤が軟弱になった場合
  • 津波による場合
  • 上記の理由で折損した隣接する柱が連鎖して場合
  • 電柱自体に問題(NTT劣化傾向柱など)がある場合
  • 保守管理が適正に行われていない場合
  • 設計基準を低く見積もっていた場合

などが挙げられる。

電柱の設置基準は?

 電気設備に関する技術基準を定める省令

(支持物の倒壊の防止)
第三十二条 架空電線路又は架空電車線路の支持物の材料及び構造(支線を施設する場合は、当該支線に係るものを含む。)は、その支持物が支持する電線等による引張荷重、風速四十メートル毎秒の風圧荷重及び当該設置場所において通常想定される気象の変化、振動、衝撃その他の外部環境の影響を考慮し、倒壊のおそれがないよう、安全なものでなければならない。ただし、人家が多く連なっている場所に施設する架空電線路にあっては、その施設場所を考慮して施設する場合は、風速四十メートル毎秒の風圧荷重の二分の一の風圧荷重を考慮して施設することができる。

風速40m/sの風圧荷重を甲種風圧荷重と言う(赤マーカーの部分)
風速40m/sの風圧荷重の1/2の風圧荷重を丙種風圧荷重という(青マーカーの部分)

この基準は必ず守らなければならない最低限の基準なのだ。

風速40m/sを超えれば電柱は折損するのか?

どのような構造物もそうでしょうが、決められた設定値ギリギリで設計することは
まずない。電柱も然り。風速41m/sになれば折損するかと言えば折損しないのである。
電柱の風圧に対する安全率(折損に対する安全率)は関西電力は2.0を基準としている。
簡単にいうと風速40m/sを基準として安全率2.0で設計した場合、風速約56m/s
には耐えることになり2.5であれば、風速約62m/sには耐えることになるが、これは
継続的に発生する風速ではなく瞬間的に発生する風速と考える方がよい。
また単純に安全率を高くすればいいという訳ではなく、機能やコストを考えた
2.5~3.0あたりで設計するのが一般的であろう。

電柱(支持物)の安全率というのは折損に対する安全率
倒壊に対する安全率の二種類があります。今回は折損に
対する安全率について説明しましたが機会をみて倒壊に
対する安全率も解説したいと思います。

電柱倒壊で被害に遭われた方へのアドバイス

倒壊した電柱の所有者を確認

電力会社かNTT、その他の電柱か確認する

被害をもたらした電柱の所有者と協議することになります。

倒れた電柱の設備状態の確認

危険のない範囲で倒れた電柱と隣接する電柱、被害のあった家屋等を写真、動画で記録しておく

電柱が倒れている状態であっても電気が流れている(通電)場合があるので注意が必要です。

電柱所有者に設置されていたものを確認

電柱本体の情報(製造メーカー、製造年、種類)、電柱に施設されていたもの全ての情報
適用風圧荷重、風圧による安全率、基礎安全率など書面で提出してもらい、安全率は計算式も
提示してもらうこと。

設備管理責任者から書面で提出してもらう。口頭の場合は必ず録音する。

口頭でのやりとりは言った言わないでトラブルになりがちです。

提出された資料が適正であるかの確認

提出された資料を元に適正に設置された電柱であるか判断する。

台風などの自然災害で電柱が倒壊した場合でも、その設備に瑕疵があれば補償されます。

開口一番、台風(自然災害)の場合は補償出来ないんです、当社も被害者なんですと説明される場合があります。技術的な説明をしないまま話出したら要注意。そのような場合、説明した人が技術担当者なのか所属、氏名を確認し、技術的な説明を最初に受けて下さい。補償云々はそれからでいいでしょう。

 

 

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